第12回学術集会「医療の未来-安全・安心をつくる組織とマネジメント-」をメインテーマに、医療と福祉の未来の要となる地域包括ケア、多職種連携とチーム医療について議論が交わされました。

2024年10月20日(日)、医療安全実践教育研究会第12回学術集会が会場(滋慶医療科学大学大学院)およびオンラインにて開催されました。今回は教育と人的資源の管理、組織マネジメントを取り上げ、「医療の未来-安全・安心をつくる組織とマネジメント-」をメインテーマに、様々な視点から講演、シンポジウムや一般演題発表が行われました。


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学術集会は、まず吉本圭一大会長による講演「安全・安心の組織を担う人材の養成と教育―social capitalと可視化―」から開始されました。本講演では、まず「安全・安全の組織を担う人材の養成と教育」に焦点をあて、安全と安心をセットで考えることの大切さの説明がありました。次に、「信頼と協働の組織とタクスシェア・シフト」、「専門職の職能の可視化と相互理解、共通感覚」について、多職種連携に関わるチーム医療の課題を踏まえて解説がありました。


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特別講演は、滋慶医療科学大学大学院教育・研究開発センターの目加田英輔所長による「滋慶中之島センターにおける教育と研究」をテーマとした講演がありました。この中で、未来医療拠点としての中之島クロスを紹介するとともに、滋慶中之島センターの研究施設と教育体制、大学院教育としての教育内容や最終的な教育目標、未来医療開発研究および社会貢献・アウトリーチ活動について講演がありました。


一般演題では2題の発表がありました。神村さんは有料老人ホーム介護職員が関与した薬剤関連自己の分析において、薬剤関連事故において「落薬」が最も多いことレベル3a以上の事故事例がないこと。要介護1~4の事例が9割を占めること、食事時間帯に多発することなどが特徴であるとされている。医療と介護の違いについての言及もあり、非常に興味深い研究であるとともに今後の発展が望まれる。小松さんからは「診療放射線技師教育課程におけるコミュニケーション教育の法制度研究」をテーマに診療放射線技師へのコミュニケーション教育の導入の課題について発表がありました。



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基調講演は、福岡大学の飛田努先生に「中小企業の経営管理システムの課題と挑戦から学ぶ -経営者はいかにして過去・現在・未来を見渡すか-」という論題で、中小企業で現在起こっている経営計画を実行させるためのシステムをいかに構築にしていくのかという経営課題について、事例を踏まえながら論じていただきました。中小企業の経営課題は医療法人とも親和性が非常に高く参考になるのではないかと感じました。



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シンポジウムは「医療安全をつくる組織とマネジメント」と題して医療機関の経営幹部の3人に登壇いただき、前2者からは看護の立場から医療安全を行うためのマネジメントシステムをどのように構築するのかについて、最後は理事長の立場から組織内情報共有の重要性について講演をしていただきました。そののち基調講演の飛田先生にも加わっていただき、医療法人におけるマネジメントシステムの現状とシステム構築課題について熱い議論が交わされ、医療法人における人手不足と働き方改革の余波で経営改革が以前にもまして必要であることが確認できることとなりました。

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