第11回学術集会は、「新たな視点から見た臨床現場の医療安全」をメインテーマに、「感染、栄養、教育」といった臨床に即した視点から見た医療安全について議論が交わされました。

2023年10月15日(日)、医療安全実践教育研究会第11回学術集会が会場(滋慶医療科学大学大学院)およびオンラインにて開催されました。今回は「新たな視点から見た臨床現場の医療安全」をメインテーマに、「感染、栄養、教育」といった臨床に即した視点から見た医療安全についての講演・発表がありました。また、シンポジウムとして「各職種から見たタスク・シフト/シェアの現状と課題」を取り上げました。


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学術集会は、まず和佐勝史大会長による講演「新たな視点から見た臨床現場の医療安全」から開始されました。本講演では、まず「栄養管理の医療安全における重要性」について、臨床例をもとに説明がありました。次に、「医学部教育における医療安全」について、「モデルコア・カリキュラムの導入」、「医師法の改正と診療参加型臨床実習の充実」および「国際基準に適合した医学教育の分野別認証評価」について、最新の医学教育の動向とその中での医療安全について解説がありました。


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特別講演は、大阪健康安全基盤研究所の朝野和典理事長による「コロナパンデミックの教訓から医療安全・感染対策専門人材の育成の重要性を学ぶ」をテーマとした講演がありました。この中で、この3年間の新型コロナウイルスパンデミックへの取り組みを総括するとともに、病院での対応と問題点を指摘し、今後のパンデミックへの対応策として感染対策専門家の育成の重要性を強調されました。新型コロナウイルス感染症がようやく落ち着きを見せ始めた現時点で、本感染症を振り返るとともに今後の課題を認識する機会となりました。


一般演題では5題の発表がありました。「糖尿病療養支援に携わる看護師のチームへの貢献」、「内視鏡検査後の安静解除における看護師の臨床知識」、「診療情報管理と医療安全」、「レジリエンスが機能する条件」および「摂食嚥下支援チームの取り組み」などをテーマに、多様な視点から見た医療安全に関する興味深い発表がありました。



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基調講演は、大阪大学医学部附属病院栄養管理室の長井直子室長による「阪大病院での管理栄養士の役割と医療安全への取り組み」をテーマとした講演がありました。この中で、阪大病院における管理栄養士の役割を総括するとともに、管理栄養士の医療安全への貢献について臨床例をもとに説明がありました。本研究会ではこれまで、管理栄養士の視点から見た医療安全についてはほとんど扱ってこなかったことより、出席者にとって貴重な機会になったかと思います。



シンポジウムでは、「各職種から見たタスク・シフト/シェアの現状と課題」をテーマに取り上げました。2024年4月から導入される医師の時間外労働の上限規制への対応策としてのタスク・シフト/シェアについて、医師、臨床工学技士、薬剤師、臨床検査技師および看護師の立場から、取り組みの現状と問題点について発表がありました。人材の確保、研修制度、モティベーションの向上、責任の所在など、様々な問題点が指摘されましたが、同時に前向きな取り組み事例も報告されました。

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