第7回学術集会「患者を支え見守る医療機器の安全管理~病院から在宅まで~」をメインテーマに、病院から在宅まで使用される医療機器の安全性について議論が交わされました。

2019年10月20日(日)、医療安全実践教育研究会第7回学術集会が、大阪大学中之島センター(佐治敬三メモリアルホール)で開催されました。今回は、「患者を支え見守る医療機器の安全管理~病院から在宅まで~」をメインテーマとして開催しました。


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学術集会は、加納隆大会長(滋慶医療科学大学院大学 教授)による「医療における電波の利用と安全対策-総務省発 医療機関において安心・安全に電波を利用するために-」と題した大会長講演において、総務省が進めている医療機関で安心・安全に電波を利用するための具体的な方策が紹介され、開幕いたしました。


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特別講演は、埼玉医科大学総合医療センター病院長の堤晴彦先生より「医療事故が起きた時 どう対応するか?-患者を守る、職員を守る、病院を守る、地域を守る-」というタイトルでご講演頂きました。これまで数多くの医療事故後の対応を行ってきた中のいくつかの事例について、当事者でなければ分からない興味深い話が実感を込めて紹介されました。


一般演題では、以下の2題が発表されました。

①「人工心肺事例からフィードバックしたシミュレーショントレーニングの必要性」
三菱京都病院 篠原智誉
②「中小規模病院で心電図モニタを安全に運用するための教育的取組み」
京都民医連あすかい病院 藤井耕

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基調講演では、大阪大学医学部附属病院 病院教授の高階雅紀先生より「医療現場における医療機器アラームの現状の問題点と対策」というタイトルでご講演頂きました。アラーム機能を適切に運用できていないことについて、モニターアラームの運用に関するワーキンググループで検討した経験について紹介されました。


シンポジウムは、大会のメインテーマである「患者を支え見守る医療機器の安全管理~病院から在宅まで~」に関連するさまざまな「医療機器の安全性確保の取組み」をテーマに、それぞれの立場から紹介して頂きました。


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まずは、京都大学医学部附属病院看護師長の和田山智子先生より「より安全な医療機器デザイン-看護師の視点から」というタイトルで、人工呼吸器の安全対策として行動的アプローチが実践されるようなデザインを取り入れることの必要性について紹介されました。


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次いで、紀南病院麻酔科主任部長の上農喜朗先生より「医療におけるシミュレーションの意義 -シミュレーションによる医療機器の安全性確保の取組み-」というタイトルで、シミュレーションを用いた医療機器の設計開発、基本操作の習得、不具合発生時ならびに想定外の事態発生時における対応の訓練の必要性が紹介されました。


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次いで、京都ルネス病院臨床工学科科長の井上勝哉先生より「在宅呼吸療法機器の安全管理-機器管理の現状と安全管理の在り方-」というタイトルで、人工呼吸器をはじめとする在宅医療機器の安全性確保の諸問題について紹介され、その中でも特に臨床工学技士の関与の重要性について言及されました。


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最後に、株式会社日立システムズ ビジネスクラウドサービス事業グループの高木洋典先生より「IoT で実現する医療機器安全管理の新たな形」というタイトルで、臨床工学ならびに医療機器安全管理の知見と株式会社日立システムズが持つIT技術を組み合わせて開発された医療機器の遠隔モニタリングシステム等について紹介されました。


閉会の挨拶として、木内淳子代表世話人から今回の学術集会が医療安全における医療機器管理の重要性を再認識する重要な機会になったのではないかと述べられました。
さらに、次期大会長として選出された滋慶医療科学大学院大学 教授の大石雅子先生が抱負を述べられ、次回は医薬品に関するプログラムを予定していることが紹介されました。


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