第6回学術集会 「地域包括ケアシステムを構築するための設計と連携」をメインテーマに、医療安全と地域連携の関係について議論が交わされました。

2018年10月21日(日)、医療安全実践教育研究会第6回学術集会が、大阪大学中之島センター(佐治敬三メモリアルホール)で開催されました。今回は、「地域包括ケアシステムを構築するための設計と連携」をメインテーマとして開催しました。


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学術集会は、飛田伊都子大会長(滋慶医療科学大学院大学 教授)による「医療安全における参加概念のパラダイムシフト」と題した大会長講演において、医療安全と地域包括ケアシステムはどのような関係にあるのかについて、さらに医療安全における患者参加の新たな構成概念が紹介され、開幕いたしました。


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特別講演は、浜松医科大学 教授の大礒義一郎先生より「医療事故当事者に対するメンタルケア・ピアサポート」というタイトルでご講演頂きました。医療事故当事者は被疑者ではなくケアの対象とすべきであり、そのひとつの取り組みとして米国のハーバード大学ブリガム&ウィメンズ病院のピアサポートプログラムが紹介されました。


一般演題では、以下の2題が発表されました。

①「在宅移行中間施設としての当施設の役割」
大阪発達総合療育センター 中山昌美
②「医療安全のための栄養部門の取り組み」
近畿大学医学部奈良病院 菅野真美


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基調講演では、東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授の辻哲夫先生より「地域包括ケアシステムを具現化するための設計」というタイトルでご講演頂きました。「地域包括ケア」の概念について、そしてそのモデルの一つである柏プロジェクトについて紹介されました。



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シンポジウムは、辻哲夫先生の基調講演から繋がるかたちで、大会テーマでもある「地域包括ケアシステムを構築するための設計と連携」をテーマに、柏プロジェクトの実際の取り組みについての講演から始まりました。

先ずは、柏市保健福祉部地域医療推進課の課長である稲荷田修一先生より「柏市における長寿社会のまちづくり」をテーマに行政の立場から、在宅医療の推進、生きがい就労の体制整備、UR都市機構による拠点型サ高住の誘致を重点的に取り組んだ第1フェーズについて紹介され、その後、現在の取り組みである第2フェーズについて紹介されました。

次いで、柏市医師会在宅・プライマリケア担当理事の古田達之先生より「柏プロジェクトにおける在宅医療の推進」をテーマに医師会の立場から、主治医・副主治医制の導入、急性増悪時の病院受け入れ体制確保、多職種連携をめざす研修会、情報共有システム、中核拠点となるセンター設置の取り組みやワーキンググループの活動について紹介されました。

次いで、柏市訪問看護ステーション連絡会の会長である片岡幸恵先生より「在宅医療における訪問看護の実際および多職種連携」をテーマに訪問看護の立場から、訪問看護の周知および広報活動、訪問看護師の人材確保、訪問看護の体制強化について紹介されました。

討論では、辻哲夫先生も交えて、我が国において求められている地域包括ケアシステムの構築に必要な連携や顔の見える関係づくりの重要性について議論が交わされました。

最後の総括では、総会にて次期大会長として選出された滋慶医療科学大学院大学 教授の加納隆先生が抱負を述べられ、次回は医療機器に関するプログラムを予定することが紹介されました。


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